このマンガがすごい!『地獄楽』の魅力を個人的に紹介(ネタバレあり)

・地獄楽

集英社の漫画アプリ『少年ジャンプ+』で常に上位にある超期待作、それが『地獄楽』です。ジャンルとしてはバトル、人間ドラマといったところでしょうか。作者は賀来ゆうじさんで、以前には『FANTASMA』という作品をジャンプSQで連載していました。

あらすじ

時は徳川将軍11代目となる頃――。かつて最強の忍として、畏れられた“画眉丸”は抜け忍として囚われていた。そんな中、打ち首執行人を務める“山田浅ェ門佐切”から無罪放免になる為の条件を突きつけられる。その条件とは極楽浄土と噂の地で「不老不死の仙薬」を手に入れること…!!美麗師・賀来ゆうじが描く忍法浪漫活劇いざ開幕!!

引用https://shonenjumpplus.com/episode/13932016480029295972

 

 あらすじの通り、抜け忍の画眉丸が、執行人とともに謎の島を探索、その中で敵と戦う物語です。僕の考えるこの作品の魅力はズバリエグさ!その中でも①登場人物のエグさ、②エグイが幻想的な世界観という二つに特に注目しました。

それをこれから紹介していきます。

①登場人物のエグさ

 島を探索することになる登場人物は、死刑囚と死刑執行人のペアです。彼らは大罪人や生まれた時から死刑に関わってきた人間なため、どのキャラも人を殺すことにためらいがない(正確にはそうでない場面もありますが…)。これは主人公も例外ではありません。

f:id:npapapa:20180907230357j:plain(出典:『地獄楽1』賀来ゆうじ、集英社、2018年)

 生まれた時から人殺しの忍として育てられてきた画眉丸は、殺すことへの抵抗感はほとんどなくなっています。ただ、彼の場合、「愛する人の元に帰る」という大義名分があり、彼はそのためならためたいなく人を殺すことができるという背景があるのです。他のキャラクターも殺人への抵抗は少ないですが、それぞれそこに至るまでの過程が異なります。本作を読み進める際は、死刑囚たちの無罪になりたい理由、そして彼らの命の扱いかたに注目してみるのも面白いんじゃないでしょうか。きっとキャラクターの理解が深まり、一層物語に没入しやすくなると思います。

②エグイが幻想的な世界観

画眉丸たちが向かう島は、作中で極楽浄土のようとされていますが、向かったものは無事に帰ってこれないという地獄のような場所です。そこに向かった人間は「花化」し、命を落としてしまいます。

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 (出典:『地獄楽1』賀来ゆうじ、集英社、2018年)

 島で画眉丸たちは不思議な敵と出会います。道教、仏教の偶像のような敵や人面の虫など、グロテスクなものが多いです。

f:id:npapapa:20180907230800j:plain(出典:『地獄楽1』賀来ゆうじ、集英社、2018年)

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(出典:『地獄楽1』賀来ゆうじ、集英社、2018年)

 この敵の謎を考察することも、作品を楽しむ醍醐味だと思います。仏教、道教が不自然に混ざった「人工的な」怪物である彼らはどのようにして生まれたのかという点は本作の最も重要な謎の一つでしょう。このほかにも、死刑囚同士の戦闘もあります。無罪となれる囚人は一人のみであるため、その座をかけた戦いも起こるのです。この点ではバトルロイヤル的でもあります。魅力的な敵キャラクターとそれらが存在するグロテスクながらも幻想的、すなわち「地獄」のような「極楽」=「地獄楽」な世界観、これが地獄楽のもう一つのエグさです。

 

 いかがでしょうか?自分は「エグさ」溢れる作品、それが『地獄楽』だと考え、それがどこに表れているかということで上の二つの魅力を紹介しました。しかし、本作にはそれ以外にもたくさんの魅力があります。死と隣り合わせの環境とは思えないほどリラックスしたコメディ的掛け合い、電子版ならではのエログロ(そんなきついものはないですけど)など、全部面白いです。単行本のおまけもファン必見の内容ですので是非買ってみてください!

 それに『地獄楽』は次にくるマンガ大賞https://tsugimanga.jp)のウェブマンガ部門で11位を獲得しています!これは過去には同じ集英社作品なら『約束のネバーランド』や『かぐや様は告らせたい』などアニメ化も決まっている作品がランクインしており、『地獄楽』のアニメ化もかなり期待できますね!

 「ん?でも11位ってそんな高くなくない?」と思った人!多いと思いますがこれはかなりすごいことなんです!なぜかというと『地獄楽』のエントリーしていた部門は上の二つと異なり「ウェブマンガ部門」であるからです。電子書籍、アプリで読むという特性上、ランクインしている作品は一話完結、日常モノなど。手軽に、短い時間を使って読める作品が大半です。ストーリーモノ、重厚な人間ドラマである時点でこの部門では不利なのに、『地獄楽』は11位まで食い込んだ。すごくないですか!?実際『地獄楽』より上のストーリーモノはマンガワンの『血と灰の女王』1作のみ!もし「ウェブマンガ部門」に「ストーリーモノ編」というカテゴリ分けがあったら2位なんです!不利な場所でもこれほど輝く「エグイ」作品、それが『地獄楽』なんですよ!読んだことない人は是非手にとってみてください!

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ここからネタバレあり!

妄想

「タオ」について

 地獄楽の29話にて、いよいよ「タオ」なる特殊な力が登場しましたね。ドラゴンボールの「戦闘力」、ワンピースの「覇気」、ナルトの「チャクラ」、ブリーチの「霊圧」等々バトル漫画には欠かせないこの特殊な力ですが、タオは万物の力の流れだそうです。効果としては「知覚」「死ぬような攻撃を受けても死ななくなる」など。習得に時間がかかることから「覇気」が一番近いイメージなのかな?効果も見聞色や武装色っぽいし。話的に修行パートはなさそうだけど、全員使いこなすことにはなるのでしょうか。

てんせん様と戦うのは?

 てんせん様とどう戦っていくのか、死刑囚たちの因縁と絡めて考えました。まず現存するキャラを書き出してみましょう。

画眉丸・佐切ペア(主人公)

杠・仙汰ペア(くノ一とオタ)

弔兵衛・桐馬ペア(兄弟)

巖鉄斎・付知(剣豪と解剖ショタ)

ヌルガイ・士遠(先生)

の5組。

ここからメタ的に戦う組み合わせを考えます。てんせん様は7人ですが、トップっぽい普賢上帝は画眉丸ペア。因縁のあるペアとして、ヌルガイペアは典坐の仇を、兄弟ペアは「まぐわっていた」二人との再戦を。これで四人ですね。あとの三人は杠ペア、巖鉄斎ペアが受け持ち、残りは画眉丸の「タオ」修行の成果あたりでしょうか。……いけそうっちゃいけそう(投げやり)。兄弟が二人同時に相手するのは無理あるかな?あとは杠ペアも強さは所々でアピールするものの戦闘シーンが少なく、どれほど戦えるかわからない。剣豪はまだあまりキャラの背景が語られていないが、こういうおっさんキャラはかっこいい相討ちをしそう(根拠はないんですけど)。ストーリー的にはヌルガイペア、そして主人公ということで画眉丸ペアなど、現実味のある、勝ちそうな組み合わせもありますが、あくまで妄想なので……。

 いかんせん戦力が足りないので、もしかするとめいがてんせん様の一人と戦う、なんてこともあるかもしれないですね。それに、一巻で言っていたように追加の死刑囚の存在もあります。てんせん様側にも、現段階で島の創造主が示唆されており、これがどう絡んでくるかによっても戦況は大きく左右されるでしょう。『鬼滅の刃』の無惨様が部下を切り捨てるように、てんせん様の何人かを間引くことも考えられます。もちろん死刑囚・執行人ペアで戦うとも限りませんし、てんせん様の方も味方を使うこともあるでしょう。考え出すときりがないのでそろそろ終わりにしますが、ここでダラダラ書いて何が言いたいかっていうとやっぱり『地獄楽』っててんせん様という一つの要素に注目してもこれだけ謎が深まっていく、続きの待ちきれない作品だってことです。それと、てんせん様絡みの伏線を整理して、これを是非とも回収してほしいという僕の個人的願望。ここまで読んで、てんせん様との戦いについて何かありましたら是非コメントお願いします!以上、長文に付き合っていただきありがとうございました!

 

参考文献・画像引用

『地獄楽』1〜3巻、賀来ゆうじ、集英社、2018年