『ペンギン・ハイウェイ』お姉さんと少年の甘酸っぱい関係性とSFノスタルジー(ネタバレなし)

ペンギン・ハイウェイ感想

 今更ながら今日は『ペンギン・ハイウェイ』を見に行ってきました!原作は2012年に刊行された小説なのでもしかしたら語り尽くされた作品かもしれませんが、感動が冷めやらぬうちに映画の魅力的だった点や感想を書いていこうと思います。

 あらすじ

 

 勉強熱心な小学四年生の主人公アオヤマ君はミステリアスで優しく、胸が大きい(重要)お姉さんに興味津々。お姉さんについての研究を続けていたある日、街の中でペンギンを発見する。彼はこの謎についても研究を始めるのだが、研究を進めていくうちにお姉さんがペンギンを生み出していること、クラスメイトのハマモトさんの研究する謎の球体「海」の存在など、次々と不可解な現象が起こっていることに気づく。果たしてアオヤマくんは、街で起こるこれらの謎を解明することができるのか。

 

 あらすじの通り、小学生が、ペンギンが発生することやそれに連なる謎に挑む物語です。作中の時期が夏ということもあり、壮大な「自由研究」と言っていいでしょう。それに適度に大人たちが介入するバランスは、自分の小学生時代を思い出すようなノスタルジーを感じさせてくれます。そんな『ペンギン・ハイウェイ』ですが、次の2点が特に印象に残ったので語りたいと思います。

①リアルなおねショタである!
②小学生を超えない!

 こんだけだとわかりにくいと思うんで以下で説明していきます。

①リアルなおねショタである!

 そもそもおねショタってご存知ですか?簡単に言うとお姉さん×少年って事です。夏アニメの『すのはら荘の管理人さん』などがわかりやすいですかね。『ペンギン・ハイウェイ』も、アオヤマ君とお姉さんがこの関係にあるのですが、彼らの関係は非常にリアルなものなのです。アオヤマ君はお姉さんに好意を抱いています。しかし、彼は小学生で、まだ恋愛感情についてよくわかっていない。お姉さんを見ると嬉しい気持ちになったり、いつもお姉さんのおっぱいばっかり見ちゃってたりしてますけど、それが恋愛感情だとは気づいていないのです。

 一方のお姉さんも、アオヤマ君の好意には気づいているような素振りを見せながらも、彼の気持ちの正体を教えたり、それを受け入れたりといったことはしません。あくまではぐらかし、クラスメイトのハマモトさんとくっつけようとするなど、子供の世界を壊さないよう一歩引いた立ち位置に留まっています。

 この関係性が実にリアル!創作だと年の差にかかわらず恋愛関係になることも多いですが、大人と子供の恋愛は現実では難しいもの。アオヤマ君は自覚がなく、逆にお姉さんはそんな彼の気持ちに気づいているからこそ恋愛には踏み込まない。それゆえ生まれた不思議な甘酸っぱい関係性=リアルなおねショタが、『ペンギン・ハイウェイ』ではたっぷりと楽しむことができます。

②小学生を超えない!

 ①で述べたように、大人ぶりながらもその恋愛観は小学生らしいアオヤマ君。彼の研究方法についても、小学生の範疇を超えることはありません。ペンギンのスケッチや聞き込み、気象の考察など、あくまでできそうなことを地道にやっているだけなのです。超常現象は起こるものの、それを解決してくれる、「デウス・エクス・マキナ」(思いがけないどんでん返し)を起こすアイテムは存在しないのです。そのため、物語は破綻なく、丁寧にエンディングへと向かっていくことができています。あくまで「自由研究」の範囲で行われるアオヤマ君たちの研究。だからこそ私たちは彼らに共感し、ノスタルジーを感じることができるんだと思います。

 

 以上が僕の思う『ペンギン・ハイウェイ』の魅力です。はじめはペンギンがかわいいな〜と思って見に行ったのですが、懐かしい気持ちになるわSF好きとしてはたまらん世界観だわで超骨太なストーリーでした。そこに生きる登場人物たちも描写がリアルで、異常な出来事が起こっているのに自分が経験した出来事と重ね合わせることもできる、不思議な作品でした。東京ではもうすぐ公開が終わってしまうそうなので、まだ見てない方は是非!

公式サイト

penguin-highway.com

 

小説(楽天市場) https://a.r10.to/hrDuCE